- 採用の場で本当に見られるべきものが、なぜ見えにくくなるのか
- 日本の面接は「仕事ができるか」より「面接がうまいか」に寄りやすい
- 「志望動機」を重視しすぎる
- 退職理由に対して厳しすぎる
- 面接官の主観に左右されすぎる
- 「空白期間」や「転職回数」に厳しすぎる
- 本音を話すほど不利になりやすい
- 面接マナーが過剰になりすぎている
- 会社側の情報開示が弱い
- 圧迫面接がいまだに残っている
- 「コミュニケーション能力」の定義が曖昧
- 新卒面接は特に茶番化しやすい
- 中途面接でも実務確認が足りない
- 候補者を「選ぶ側」として見すぎている
- 質問がテンプレ化していて本質に届かない
- 採用後のミスマッチを面接で防げていない
- 日本の面接で本当に改善すべきこと
- 候補者側も「面接に合わせすぎる」必要はない
- 結論:日本の面接の問題は「建前が強すぎること」である
採用の場で本当に見られるべきものが、なぜ見えにくくなるのか
日本の面接には、長年続いてきた独特の文化があります。礼儀、身だしなみ、話し方、志望動機、退職理由、入社意欲、協調性など、候補者を多面的に見る仕組みとして機能してきた面もあります。
しかし一方で、日本の面接には明確な問題点もあります。
本来、面接は「この人が仕事で成果を出せるか」「職場と合うか」「会社側が提供できる条件と候補者の希望が合っているか」を確認する場です。ところが実際には、仕事能力よりも受け答えのうまさ、空気を読む力、無難な発言、面接官への印象管理が重視されすぎることがあります。
その結果、優秀な人材を見逃したり、入社後にミスマッチが起きたり、候補者側が必要以上に消耗したりします。
この記事では、日本の面接のダメなところを、感情論ではなくビジネス視点で深掘りします。
日本の面接は「仕事ができるか」より「面接がうまいか」に寄りやすい
日本の面接で最も大きな問題は、実務能力の評価よりも、面接対応力の評価に偏りやすい点です。
面接では、限られた時間の中で候補者の人柄や経験を確認します。しかし、短時間の会話だけで実際の仕事ぶりを正確に判断するのは簡単ではありません。
特に日本の面接では、次のような要素が高く評価されやすい傾向があります。
| 評価されやすい要素 | 実際の仕事能力との関係 |
|---|---|
| ハキハキ話せる | 接客や営業では有利だが、全職種で必須ではない |
| 志望動機をきれいに話せる | 本音ではなく準備力の評価になりやすい |
| 退職理由を無難に説明できる | 実態より表現力が重視されやすい |
| 緊張せず受け答えできる | 面接慣れの影響が大きい |
| 面接官に好印象を与える | 相性や印象に左右されやすい |
もちろん、コミュニケーション能力は重要です。
しかし、すべての仕事が「面接でうまく話せる人」に向いているわけではありません。
たとえば、事務、経理、エンジニア、研究職、制作職、現場作業、分析業務などでは、話のうまさよりも正確性、継続力、専門性、段取り力のほうが重要な場合があります。
それにもかかわらず、面接の場で緊張して言葉に詰まるだけで「自信がなさそう」「主体性が弱そう」と判断されることがあります。
これはかなり危険です。
面接がうまい人と、仕事ができる人は、必ずしも同じではありません。
日本の面接は、この違いを見落としやすい構造があります。
「志望動機」を重視しすぎる
日本の面接では、志望動機が非常に重視されます。
「なぜ当社を志望したのですか」
「同業他社ではなく、なぜうちなのですか」
「入社後にどのような貢献をしたいですか」
こうした質問自体は悪くありません。候補者の理解度や意欲を確認する目的はあります。
ただし、問題は重視しすぎることです。
多くの求職者にとって、転職や就職の理由は非常に現実的です。
給与を上げたい。
休みを増やしたい。
通勤時間を短くしたい。
人間関係を変えたい。
将来性のある業界に移りたい。
生活のために安定した収入が必要。
これらは決して悪い理由ではありません。むしろ、働くうえで自然な理由です。
しかし日本の面接では、こうした本音をそのまま話すと、ネガティブに見られることがあります。そのため候補者は、会社理念や事業内容への共感を強調し、きれいな志望動機を作ることになります。
結果として、面接は本音の確認ではなく、建前の発表会になりやすいです。
これは会社側にとっても損です。
本音を聞けないまま採用すると、入社後に条件面や働き方のミスマッチが起きやすくなります。候補者が何を重視しているのかを正しく把握できなければ、長く働いてもらえるかどうかも判断しにくくなります。
志望動機を見ることは必要です。
しかし、志望動機だけで意欲を判断するのは危険です。
本当に見るべきなのは、きれいな志望動機を言えるかではなく、仕事内容を理解しているか、条件を納得しているか、入社後に現実的に働けるかです。
退職理由に対して厳しすぎる
日本の面接では、退職理由の聞かれ方にも問題があります。
特に転職面接では、退職理由を少しでもネガティブに話すと、候補者側に問題があるように見られることがあります。
たとえば、次のような理由です。
| 本当の退職理由 | 面接での見られ方 |
|---|---|
| 残業が多すぎた | 忍耐力がないと思われる可能性 |
| 人間関係が悪かった | 協調性がないと思われる可能性 |
| 給与が低かった | お金だけで動く人と思われる可能性 |
| 評価制度に不満があった | 不満を持ちやすい人と思われる可能性 |
| 上司と合わなかった | 他責思考と思われる可能性 |
もちろん、すべてを会社のせいにする話し方はよくありません。
しかし、退職理由がネガティブになること自体は自然です。
人が会社を辞めるとき、そこには何らかの不満や限界があることが多いです。にもかかわらず、面接では「前向きな理由」に変換することが求められます。
これにより、候補者は本当の退職理由をかなり加工して話すことになります。
たとえば、
「残業が多すぎて体力的に厳しかった」
という理由を、
「より効率的に働ける環境で、長期的に成長したいと考えました」
のように言い換える。
この言い換え自体は面接対策として有効です。
しかし、採用側がそれを前提にしすぎると、実態が見えなくなります。
本来、退職理由は責めるために聞くものではありません。
候補者がどのような環境で力を発揮しやすいのか、どのような条件だと離職リスクが高いのかを確認するために聞くべきです。
退職理由を減点材料として扱いすぎると、候補者は本音を隠します。
そして会社側は、本当に確認すべきリスクを見逃します。
面接官の主観に左右されすぎる

日本の面接は、面接官の主観に大きく左右されることがあります。
「感じがよかった」
「なんとなく合いそう」
「うちの雰囲気に合う」
「素直そう」
「目を見て話していた」
「熱意が伝わった」
こうした感覚的な評価は、完全に不要ではありません。職場で一緒に働く以上、人柄や相性も重要です。
しかし、主観に頼りすぎると、評価基準が曖昧になります。
同じ候補者でも、面接官によって評価が大きく変わることがあります。ある面接官は「落ち着いていて信頼できる」と感じても、別の面接官は「元気が足りない」と感じるかもしれません。
これは候補者の能力というより、面接官側の好みの問題です。
特に問題なのは、評価基準が言語化されていない場合です。
| 曖昧な評価 | 本来確認すべき内容 |
|---|---|
| 雰囲気が合う | 具体的にどの業務特性と合うのか |
| 素直そう | 指摘を受け入れ改善できる根拠はあるか |
| やる気がある | 行動実績や準備内容に表れているか |
| コミュ力がある | どの場面で必要なコミュニケーションか |
| 不安が残る | 何が不安なのか具体化できているか |
採用は、会社にとって重要な投資判断です。
にもかかわらず、「なんとなくよかった」「なんとなく不安」という感覚で判断してしまうと、採用の精度は安定しません。
面接官の経験や勘も大切ですが、それだけに依存するのは危険です。
質問内容、評価項目、合否基準をある程度そろえなければ、公平な判断にはなりにくいです。
「空白期間」や「転職回数」に厳しすぎる
日本の面接では、職歴の空白期間や転職回数が厳しく見られやすいです。
もちろん、会社側が職歴を確認するのは当然です。短期離職が多い場合、採用してもすぐ辞めてしまうのではないかと不安になるのは自然です。
しかし、問題は表面的な回数や期間だけで判断しやすいことです。
空白期間には、さまざまな理由があります。
体調を整えていた。
家族の事情があった。
資格勉強をしていた。
転職活動が長引いた。
合わない会社を短期で辞めた。
非正規や業務委託で働いていた。
一度働き方を見直していた。
これらをすべて「不利な経歴」として見るのは、現実に合っていません。
また、転職回数が多いからといって、必ずしも問題があるとは限りません。若い時期に複数の業界や職種を経験し、自分に合う仕事を探すこともあります。成長市場では、キャリアアップのために転職することも珍しくありません。
それにもかかわらず、日本の面接では「長く一社に勤めること」が暗黙の評価基準として残っている場合があります。
これは、終身雇用的な価値観が強かった時代の名残とも言えます。
今は働き方が多様化しています。
正社員、契約社員、派遣、業務委託、副業、フリーランス、リモートワークなど、キャリアの形は一つではありません。
それでも面接の評価基準だけが昔のままだと、多様な人材を正しく評価できません。
見るべきなのは、転職回数そのものではなく、転職ごとの理由、経験から得たもの、今後の働き方との整合性です。
本音を話すほど不利になりやすい
日本の面接では、候補者が本音を話すほど不利になる場面があります。
たとえば、次のような本音です。
「残業はできるだけ少ないほうがいいです」
「給与はかなり重視しています」
「人間関係が悪い職場は避けたいです」
「前職では評価制度に納得できませんでした」
「管理職より専門職として働きたいです」
「仕事だけを人生の中心にしたいわけではありません」
これらは、現代の働き方としては十分に自然な考えです。
しかし面接では、言い方を間違えると「意欲が低い」「扱いにくそう」「条件ばかり気にしている」と受け取られる可能性があります。
そのため候補者は、会社に都合のよい人物像を演じることになります。
「御社で成長したいです」
「どんな仕事にも前向きに取り組みます」
「残業も必要であれば対応します」
「チームに貢献したいです」
「長く働きたいです」
もちろん、これらが本心であれば問題ありません。
しかし、本音を隠した発言で採用が進むと、入社後にギャップが生まれます。
会社側は「意欲的な人だ」と思って採用する。
候補者側は「本当は条件を重視していた」と感じながら働く。
その結果、早期退職やモチベーション低下につながることがあります。
面接は、本来なら双方の条件確認の場です。
会社が候補者を選ぶだけでなく、候補者も会社を選びます。
にもかかわらず、日本の面接では、候補者側が必要以上に下手に出る構造になりやすいです。これは健全な採用とは言いにくいです。
面接マナーが過剰になりすぎている
日本の面接では、マナーが細かく見られすぎることがあります。
入室のノック回数。
椅子に座るタイミング。
お辞儀の角度。
スーツの色。
髪型。
言葉遣い。
履歴書の渡し方。
退出時の動作。
もちろん、最低限の礼儀は必要です。社会人として失礼のない態度を取ることは大切です。
しかし、マナーが過剰になると、仕事に必要な能力とは別のところで候補者が評価されることになります。
たとえば、ノックの回数を間違えたからといって、実務能力が低いとは限りません。緊張して言葉遣いが少し乱れたからといって、日常業務で問題があるとは限りません。
それにもかかわらず、細かいマナー違反を大きく減点する面接は、採用精度を下げる可能性があります。
特に新卒採用では、この傾向が強くなりやすいです。学生は実務経験が少ないため、評価材料としてマナーや話し方が重視されがちです。
しかし、その結果として「就活用の振る舞いがうまい人」が有利になります。
これは、企業にとっても本質的ではありません。
採用後に必要なのは、完璧な入室マナーではなく、学ぶ力、働く力、継続する力、周囲と協力する力です。
マナーは最低限でよく、過剰に評価するべきではありません。
会社側の情報開示が弱い
日本の面接では、候補者には多くの情報を求める一方で、会社側の情報開示が不足していることがあります。
候補者には、志望動機、職務経歴、退職理由、将来像、希望条件、強み弱みなどを聞きます。
一方で、会社側は次のような重要情報を曖昧にしたまま面接を進めることがあります。
| 候補者が知りたい情報 | 曖昧にされやすい内容 |
|---|---|
| 実際の残業時間 | 部署や時期による、という説明で終わる |
| 具体的な仕事内容 | 入社後に相談、幅広く担当してもらう |
| 評価制度 | 頑張りを評価する、という抽象的な説明 |
| 配属先 | 適性を見て決定 |
| 給与の上がり方 | 実績次第 |
| 職場の人間関係 | 風通しがよい、アットホームなど抽象的 |
| 離職率 | 明確に答えない |
これでは、候補者は正確な判断ができません。
面接は、会社が候補者を見極める場であると同時に、候補者が会社を見極める場でもあります。
それにもかかわらず、会社側の情報が不足したまま「入社意欲」を求めるのは不公平です。
特に問題なのは、入社後に初めて実態が見えるケースです。
聞いていた仕事内容と違う。
想定より残業が多い。
評価基準が曖昧。
配属先の雰囲気が合わない。
給与が上がりにくい。
教育体制が整っていない。
こうしたミスマッチは、候補者だけでなく会社側にも損失です。採用コスト、教育コスト、現場の負担、早期離職による再採用の手間が発生します。
採用の質を上げるには、候補者に質問するだけでなく、会社側も現実的な情報を出す必要があります。
圧迫面接がいまだに残っている

近年は減ってきているとはいえ、圧迫面接的な考え方が残っている会社もあります。
あえて厳しい質問をする。
候補者の回答を否定する。
沈黙でプレッシャーをかける。
過去の経歴を必要以上に責める。
「それで通用すると思いますか」と詰める。
上から目線で反応を見る。
こうした面接は、候補者のストレス耐性を見る目的で行われることがあります。
しかし、圧迫面接には大きな問題があります。
第一に、通常業務で必要な能力を正しく測れるとは限りません。
厳しく詰められたときにうまく返せる人が、必ずしも仕事で成果を出すわけではありません。
第二に、会社の印象を大きく下げます。
候補者は面接を通じて、その会社の文化を見ています。面接官の態度が悪ければ、「入社後も同じような扱いを受けるのではないか」と感じます。
第三に、優秀な人ほど辞退しやすくなります。
候補者にも選択肢があります。わざわざ不快な対応をする会社を選ぶ理由はありません。
圧迫面接は、候補者を見極める手法というより、会社側の古い価値観が出ているだけの場合があります。
採用競争がある時代に、候補者を試すだけの面接は不利です。
会社も選ばれる側であるという意識が必要です。
「コミュニケーション能力」の定義が曖昧
日本の面接では、コミュニケーション能力がよく重視されます。
しかし、この言葉は非常に曖昧です。
コミュニケーション能力といっても、実際にはさまざまな種類があります。
| コミュニケーションの種類 | 必要とされる場面 |
|---|---|
| 明るく話す力 | 接客、営業、受付 |
| 正確に報告する力 | 事務、管理、現場業務 |
| 相手の意図をくみ取る力 | チーム業務、調整業務 |
| 論理的に説明する力 | 企画、開発、コンサル |
| 文章で伝える力 | リモートワーク、資料作成 |
| 聞く力 | カスタマー対応、マネジメント |
| 断る力 | 調整、交渉、管理職 |
面接でよく評価されるのは、主に「明るく、スムーズに話す力」です。
しかし、仕事によってはそれ以上に、正確に報告する力、相手の話を聞く力、文章で整理する力、トラブル時に冷静に説明する力のほうが重要です。
にもかかわらず、面接で少し話が苦手に見えるだけで「コミュニケーション能力が低い」と判断されることがあります。
これはかなり雑な評価です。
本来は、その職種で必要なコミュニケーションを具体化しなければいけません。
営業職なら、顧客対応力や提案力。
事務職なら、確認力や報告の正確性。
エンジニアなら、仕様確認や課題共有の力。
管理職なら、調整力や説明責任。
接客職なら、対人対応と感情管理。
このように分けて評価しなければ、「なんとなく話しやすい人」が有利になるだけです。
新卒面接は特に茶番化しやすい
日本の新卒面接には、特有の問題があります。
学生は社会人経験がないため、企業はポテンシャルを見ます。これは仕方ありません。
しかし実際には、新卒面接はかなり形式化しやすいです。
ガクチカ。
自己PR。
志望動機。
挫折経験。
リーダーシップ経験。
周囲を巻き込んだ経験。
入社後にやりたいこと。
将来のキャリアビジョン。
これらの質問は定番化しすぎています。
その結果、学生側もテンプレート化された回答を準備します。
サークル活動でリーダーをした。
アルバイトで売上改善に取り組んだ。
ゼミで課題解決をした。
部活動で困難を乗り越えた。
周囲と協力して成果を出した。
もちろん、これらの経験自体に価値はあります。
しかし、回答が型にはまりすぎると、候補者の本質が見えにくくなります。
さらに問題なのは、学生が「企業に好かれる自分」を演じることです。
本当は安定を重視しているのに、挑戦したいと言う。
本当は勤務地を重視しているのに、全国転勤も前向きと言う。
本当はワークライフバランスを重視しているのに、成長環境を強調する。
このような面接では、企業も学生も建前を交換しているだけになりやすいです。
新卒採用こそ、もっと現実的な会話が必要です。
どんな仕事をするのか。
どんな人が合うのか。
何が大変なのか。
どのような働き方になるのか。
成長にはどれくらい時間がかかるのか。
きれいな自己PRよりも、入社後の現実を共有するほうが重要です。
中途面接でも実務確認が足りない
中途採用では、本来は実務経験を確認することが重要です。
しかし、日本の中途面接でも、意外と実務の深掘りが不足することがあります。
職務経歴書に書かれた内容を見て、
「これまでの経験を教えてください」
「どのような成果を出しましたか」
「当社でどう活かせますか」
という会話で終わってしまうことがあります。
これだけでは、実際にどの程度の実務能力があるのか判断しにくいです。
たとえば、同じ「営業経験3年」でも、内容は大きく違います。
新規営業なのか。
既存営業なのか。
個人向けなのか。
法人向けなのか。
単価はいくらか。
商談期間はどれくらいか。
自分で戦略を立てたのか。
上司の指示通りに動いたのか。
成果は市場環境によるものか、本人の工夫によるものか。
ここまで確認しないと、再現性は見えません。
事務や経理、エンジニア、マーケティング、制作職でも同じです。肩書きや経験年数だけでは、実力は分かりません。
中途面接では、もっと具体的な実務確認が必要です。
実際にどのツールを使っていたか。
どの範囲を担当していたか。
トラブル時にどう対応したか。
成果を出すために何を変えたか。
前職の環境が変わっても再現できる力なのか。
ここを深掘りせずに、印象や受け答えだけで判断すると、入社後に「思っていたよりできない」「任せたい仕事と経験が違う」というミスマッチが起きます。
候補者を「選ぶ側」として見すぎている
日本の面接では、会社側が候補者を選ぶという意識が強く残っている場合があります。
もちろん、採用するかどうかを決めるのは会社です。
しかし、候補者にも会社を選ぶ権利があります。
特に人手不足の業界や専門職では、優秀な人材ほど複数の選択肢を持っています。会社側が一方的に評価するだけの姿勢では、候補者から選ばれません。
面接官の態度は、会社の印象そのものです。
連絡が遅い。
面接時間を守らない。
仕事内容の説明が曖昧。
候補者への敬意がない。
質問ばかりして会社説明が薄い。
条件面の話を避ける。
不採用理由を一切伝えない。
こうした対応をすると、候補者は「この会社は人を大切にしなさそう」と感じます。
採用活動は、会社の広報活動でもあります。
不採用になった候補者も、将来の顧客、取引先、口コミ発信者になる可能性があります。
面接の質が低い会社は、採用力だけでなく企業イメージも落とします。
これからの面接では、「選んでやる」ではなく「お互いに確認する」という姿勢が必要です。
質問がテンプレ化していて本質に届かない
日本の面接では、質問がテンプレート化しやすいです。
「自己紹介をお願いします」
「長所と短所を教えてください」
「志望動機を教えてください」
「前職を辞めた理由は何ですか」
「5年後どうなっていたいですか」
「最後に質問はありますか」
これらの質問は悪くありません。
しかし、候補者も準備しているため、回答もテンプレートになりやすいです。
テンプレ質問に対して、テンプレ回答が返ってくる。
その結果、面接官は「無難な人かどうか」しか見られない。
これでは採用判断として弱いです。
本当に必要なのは、候補者の考え方や行動の再現性を見る質問です。
たとえば、次のような質問です。
| 見たい内容 | 質問例 |
|---|---|
| 問題解決力 | 過去に業務で困ったことを、どのように解決しましたか |
| 再現性 | その成果は、別の環境でも再現できると思いますか |
| 判断力 | 複数の選択肢がある中で、何を基準に決めましたか |
| 協働力 | 意見が合わない相手と、どう調整しましたか |
| 学習力 | 未経験の業務を覚えるとき、どのように進めますか |
| 失敗対応 | 失敗した後、具体的に何を変えましたか |
こうした質問は、候補者の実際の行動を確認しやすいです。
面接では、きれいな答えよりも、具体的な行動を聞くべきです。
「何を考えたか」だけでなく、「何をしたか」「その結果どうなったか」「次にどう改善したか」を見る必要があります。
採用後のミスマッチを面接で防げていない
面接の目的の一つは、入社後のミスマッチを防ぐことです。
しかし、日本の面接では、採用すること自体が目的化してしまい、ミスマッチ防止が弱くなることがあります。
会社側は候補者に良く見せようとする。
候補者側も自分を良く見せようとする。
お互いに不利な情報を隠す。
結果として、入社後に現実が見える。
この構造では、ミスマッチが起きやすくなります。
たとえば、会社側が「働きやすい職場です」と言っても、実際には繁忙期の残業がかなり多い場合があります。候補者が「長く働きたいです」と言っても、実際には条件次第で転職を考えている場合があります。
どちらが悪いというより、面接の場で本音のすり合わせができていないことが問題です。
採用後のミスマッチを減らすには、会社側も候補者側も、都合の悪い情報をある程度出す必要があります。
会社側は、仕事の大変な部分を伝える。
候補者側は、重視する条件を伝える。
双方が現実を確認したうえで判断する。
これができれば、入社後のギャップは減ります。
日本の面接で本当に改善すべきこと
日本の面接を改善するには、単に「優しくする」「カジュアルにする」だけでは不十分です。
必要なのは、採用の目的を見直すことです。
面接は候補者を試す場ではありません。
会社と候補者が、仕事・条件・価値観・期待値をすり合わせる場です。
改善すべきポイントは、次の通りです。
| 改善点 | 内容 |
|---|---|
| 評価基準を明確にする | 印象ではなく、職種ごとの必要能力で見る |
| 実務確認を増やす | 経験年数や話し方ではなく、具体的な行動を見る |
| 会社側の情報開示を増やす | 残業、仕事内容、評価制度、配属先を現実的に伝える |
| 本音を話せる空気を作る | 条件面や不安点を話しても即減点しない |
| 面接官を教育する | 主観、圧迫、曖昧評価を減らす |
| 候補者を対等に扱う | 会社も選ばれる立場だと理解する |
| 面接以外の評価方法を使う | 適性検査、課題、職場見学、実務テストなどを組み合わせる |
面接だけですべてを判断するのは限界があります。
だからこそ、面接の質を上げると同時に、実務課題、職場見学、条件説明、現場社員との面談など、複数の方法を組み合わせることが重要です。
候補者側も「面接に合わせすぎる」必要はない
候補者側にも考えるべきことがあります。
日本の面接では、どうしても会社に合わせた回答をしがちです。
もちろん、面接対策は必要です。失礼な言い方や準備不足は避けるべきです。
しかし、自分を良く見せることだけを優先しすぎると、入社後に苦しくなります。
たとえば、本当は残業が少ない職場を希望しているのに、面接で「残業も問題ありません」と言ってしまう。
本当はルーティン業務が得意なのに、「新しいことにどんどん挑戦したい」と言ってしまう。
本当は安定志向なのに、「成果主義の環境で成長したい」と言ってしまう。
このようなズレは、入社後のミスマッチにつながります。
面接では、すべてを本音でそのまま言う必要はありません。
しかし、自分にとって譲れない条件まで隠すべきではありません。
会社に選ばれることだけがゴールではありません。
入社後に無理なく働けるかどうかのほうが重要です。
結論:日本の面接の問題は「建前が強すぎること」である

日本の面接のダメなところを一言で言えば、建前が強すぎることです。
候補者は、会社に好かれる答えを用意する。
会社は、候補者の本音より印象を見がちになる。
退職理由は前向きに変換される。
志望動機はきれいに整えられる。
会社側の不都合な情報は曖昧にされる。
面接官の主観で合否が決まる。
結果として、採用後にミスマッチが起きる。
面接で本当に必要なのは、完璧な受け答えではありません。
必要なのは、仕事に必要な能力があるか。
その人が力を発揮できる環境か。
会社が求める条件と候補者の希望が合っているか。
入社後に現実的に続けられるか。
ここを確認することです。
日本の面接は、礼儀や形式を大切にしてきた一方で、本質的な見極めが弱くなる場面があります。これからの採用では、候補者を試す面接ではなく、双方が現実を確認する面接に変えていく必要があります。
会社にとっても、候補者にとっても、面接は勝ち負けの場ではありません。
お互いに「ここで働く意味があるか」を確認する場です。
その考え方に変わらない限り、日本の面接はいつまでも、仕事力ではなく面接力を競う場所になってしまいます。


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